東京 大森の建築家兼宅地建物取引士が語る、不動産探し&家づくりのコト

九曜舎〜2拠点居住東京の家<2019年グッドデザイン賞受賞>

この住宅のグッドデザイン賞受賞に際して、審査員より以下のコメントを頂きました

「郊外住宅で子育てを終えた後、都心に回帰するパターンが増えている。その多くはマンションだが、本作は戸建住宅である。外観はもちろん、3階建ての2階以上を全て畳敷きとし、2階バルコニーに坪庭をつくるなど、和のテイストにこだわる一方、1階は鉄筋コンクリート造で演奏のための防音スタジオとしている。老後にはやや早い、通勤の利便性と趣味を両立させた都市型戸建住宅の新たな可能性を提示している。」

2拠点居住というと、「平日東京、週末地方」というのはよく見かけますが、今回の住宅は、施主の家族との拠点は郊外にあり、その逆となります。ライフスタイルの楽しみ方は家族それぞれであり、その回答も違ってくると思います。今後も依頼される要望に答えつつ、新しい提案を行っていきたいと思います。

また和風建築も現代の日本のごくごく一般的な住宅では、レアケースになってしまっています。「和風=非日常」というのも様々考えるものがありました。とは言え、現場での設計監理においても膨大な詳細図を描き、施工会社と苦労しながら、現場が進みました。1階のスタジオの防音工事は専門工事会社に依頼し、冷暖房は輻射熱冷暖房システムも導入し、付加断熱材、2階の坪庭等々、興味深い仕様でした。

外観 1階はRC造。外断熱+シラス左官仕上。

2〜3階の外壁は焼杉板張り、45分準耐火構造認定の「火バリ」を仕様

門扉はスチールフラットバー引戸

2階上がり間+坪庭

1階はRCのため、防水+保護コンクリートの上に植栽

階段 スチール+畳 輻射熱冷暖房パネルを階段脇に設置

キッチン 一段下がった天井部分に換気扇給排気と全熱交換器を納めている キッチン背面の窓は北側だが、隣地の外壁に日射が反射し、明るい

坪庭と上がり間 大きなFIX窓で仕切る


グッドデザイン賞受賞展にてパネルを展示します。今年度の受賞作品もご覧いただけます。ご都合があえば、是非お越しください

会期 2019年 10月 31日(木)ー 11月 4日(月・祝)

11:00-20:00 最終日 18:00まで / 入場は閉館 30分前まで

会場 東京ミッドタウン各所(東京都港区赤坂9-7-1)

http://archive.g-mark.org/gde/2019/index.html