台湾の古い家屋に残る鉄格子、様々な意匠の現場テラゾー仕上等々、古い建築の造形パーツを集めた「老屋顔」の著者、辛永勝氏と楊朝景氏が登壇するイベントに参加してきました。
「老屋顔」は台湾では、3刷となりかなりのベストセラーとなっているようで、、日本版も最近発売されました。
今回は、時間も短いこともあり、数々の意匠の中で、鉄格子と現場テラゾー仕上についての話となりました。
窓の鉄格子は中国語で「鐵窗花」。
日本統治時代のものもあるが、以後の中華民国時代のものも多くあるとのこと。
△ジグゾーパズル?
主として車で出かけ、そのあと自転車で「採取」に向かうという。面白いものを見つけては、住人に話を聞く。ただ住んでいる本人も、その存在に気づいていない場合も多いとのこと。
△メガネ
築年数も重ね、世代も変わり、その意図も語り継がれないこともあったり、気に留められていないことも多かったという。
△桜
そこに台湾特有の歴史的時代背景があるのか、取るに足らない普遍的な、当たり前なものになってしまったのかは分かりません。
△富士山
他の分野でも同じように、彼らが行っている再評価は、主として外部からの視点によるものだと思います
△富士山のバリエーション
△富士山+飛行機
△蝶
△葡萄と鸚鵡
△楽器
△楽譜
△楽譜拡大
この楽譜は、当時主人が好きだった曲だったという。日本の曲の可能性もあるとのこと
鐵窗花は主として窓の防犯のために設けられたもので、建築の高層化、建て方の変化等々により、最近はあまり作られていないとのことです。
もう一つ現場テラゾー仕上。中国語では「磨石子」
銅板で枠を作り、小石とモルタルと色粉を流し込み、固まった後磨く工法です。
△教会
△飴
△蝶
△うさぎ
△亀とうさぎ
△竣工年
△漢方薬局 朝鮮人参?
△漢方薬局 蜂蜜?蜜蜂?
△歯科
△歯科 花に見立てているとのことですが、リアルです
△靴 この店のオリジナルデザインとのこと
△写真館
磨石子は手間が掛かることも、寺院や店舗に多いとのこと。民家だとそれはそれなりの家というこということが想像できます。
2017年春に台北に行った時に、迪化207博物館に行ったことがあります。こちらの磨石子は見事で、ちょうど開館当時で磨石子の展示もしていました。
大稲埕、迪化街の歴史を紡ぐ小さな博物館〜迪化207博物館<台北2017春01>
鐵窗花も磨石子も、それを作れる職人が少なくなっているとのこと。日本も同様に建築の作り方は変わって来ていますし、手間のかかる意匠もわざわざ作ることもなくなってきていると思います。
彼らのFacebookページを通じて、情報が寄せられることが多く、GoogleMapを見てから採集に行くことが多いとのことだが、実際に行ってみるとなくなってきているのもあるとのこと。台湾の中でも台北は経済的な発展が早く、よく見られるのは、台湾中南部の街に残っているという。不動産を投資と見なせば、残念ながら古い家屋は諸条件が良ければ投資対象と見なされるのは、経済合理性から言えば、仕方がないことかもしれません。ただこのような古い建築は、先祖、先人達の歴史そのものでもあり、やはり大切に使いながら受け継いで欲しいと願います。
イベントの参加記念で、著者のお二人からのプレゼント、老屋顔のモチーフのマスキングテープとポストカードとシール。ありがとうございます。
折角なので、お二人のサインも頂きました。現在は3版とのこと。初版を持っているのはやはり珍しいのでしょうか?数年前台湾に行った時、台北の誠品書店か高雄のMLD台鋁で買ったと思います。
台湾はリノベーションによる古い建築の再評価が多く、この本の視点は、一般の人にとって建築の見方の一つの指標になると思います。また台湾に行って、老屋顔を探します。