東京 大森の建築家兼宅地建物取引士が語る、不動産探し&家づくりのコト

検査済証のない建築の用途変更ホテルリノベーション計画

某ホテルリノベーション計画。既存建物はもちろん検査済証はなし。専用住宅を用途変更してホテルへの用途変更のプレゼンテーション

ひと昔前までは、完了検査を受けている建物は今ほど多くはない。中古の物件を探していると、検査済証のない物件は山ほどある。

検査済証のない物件にも2つの種類があり、既存不適格建築物と違法建築物。既存不適格建築物は建物竣工後の法改正により、当時の関係諸法を満たしていたが、現在の基準を満たしていない建築物。違法建築物は、建設時に改変があったかその後のリフォームや増築で、違法状態になっている建築物。

検査済証のない違法建築物を増築や用途変更する場合、原則として当時の適法状態に戻す必要があり、これではじめて用途変更の申請が可能となる。

特に専用住宅からホテルや簡易宿所への用途変更というのは、ホテルや簡易宿所が建築基準法の特殊建築物に該当し、各部分の基準が厳しくなっている。専用住宅は、そこに住む人が使うものであり、不特定・特定多数の人が使う施設ではないので、そもそもの建築の使い方の前提が違っていると考えたほうがいいでしょう。

とりわけ、階段の基準がわかりやすい。

  • 住宅(共同住宅は含まず)    幅員75cm以上 蹴上23cm以下 踏面15cm以上
  • 住宅以外の階段(一番緩い基準) 幅員75cm以上 蹴上22cm以下 踏面21cm以上

ちょっとの違いだが、大きな違い。特に廻り段部分の踏面の有効寸法で大きな違いが出ることが多く、用途変更の改修時に階段を変更するケースは多い。要改修の箇所は他にもあるが、階段がわかりやすい