ここ1、2年省エネ住宅の意識が高まってきたように思えます。日本国内のエネルギー消費の内、家庭での消費のうち、約30%が冷暖房のによるエネルギー消費です。住宅の省エネ性能が高ければ、これらの冷暖房のエネルギー消費を抑えられ、冷暖房費の節約にもなります。もちろん、エネルギー消費が少なくなれば、地球温暖化防止への貢献にもなります。
省エネ住宅としては、様々方法がありますが、主なものとして、屋根や壁の断熱、開口部の断熱、遮熱、効率の良い設備機器の導入がありますが、ここでは、屋根や壁及び開口部の断熱等、住宅の外周部=「外皮」の性能について、以前設計した住宅で計算してみました。設計時は省エネ基準に準拠した設計はしていませんでしたが、出来る限りの断熱材の性能や厚さについて、考慮して仕様を決定していました。外皮の性能についてUA値が示され、現在は、エクセル等を使ったツールも開発されていますので、気軽に計算できるようになりました。UA値を比較することによって、外皮の性能を簡単に比較できます。具体的な数値を挙げれば、東京等の地域区分6ではUA値0.87が、平成28年の省エネルギー基準となっています。この数値よりも小さければ、省エネルギー性能が高いということが分かります。
<事例1>木造2階建延床約108m2 所在地:東京都内
◯断熱材
・屋根 高性能GW16k-200t
・外壁 高性能GW16k-100t
・1F床 GW32k-100t
・基礎断熱なし
・サッシ 熱貫流率4.07 W/(m2・K)
このような条件で計算すると以下のようになります。
UA値は0.64となりました。より高性能な省エネ住宅の基準ZEHの外皮の基準は0.60なので、ちょっと足りないくらいです。どこか調整すれば、クリア出来そうな見通しです。この住宅は付加断熱は行っていないので、外皮基準の数値のみであれば、何とかなりそうです。
<事例3>木造3階建一部鉄筋コンクリート造延床約107m2 所在地:東京都内
◯断熱材
・屋根 高性能GW16k-150t+45t
・外壁 高性能GW16k-100t+45t/高性能ポリスチレンフォーム40t
・1F床 高性能ポリスチレンフォーム50t
・サッシ 熱貫流率1.66 W/(m2・K)
この物件は、1階を鉄筋コンクリート造でその上に在来木造2階建の3階建となっています。外壁や屋根は付加断熱を施し、サッシも高断熱のものを導入しました。
外皮の熱貫流率は0.47となり、かなり高性能な住宅です。何度かメンテナンスでお邪魔していますが、やはり非常に快適な環境です。
今後、外皮の熱貫流率や日射、冷暖房の効率等も設計の重要なテーマとなるでしょうし、光熱費の試算も簡単にできるようになりました。設計上は、どう住むのか?生活スタイルと生活の気付きになるような何か?がある住宅を目指して、設計を行っていきますが、補助金等々の受給基準も出てきますので、しっかりサポートを行う必要がありますね。