東京 大森の建築家兼宅地建物取引士が語る、不動産探し&家づくりのコト

確認申請不要の用途変更やリノベーションの出口戦略

「確認申請不要の用途変更やリノベーションの出口戦略」と書きましたが、今後、検査済証のない物件や法的に問題がないことが証明されていない物件の評価は低くなるのではないかと考えています。近年の建設費の高騰により、建て替えが難しくなり、リノベーションして使うことを考えると、法的に問題ないことの公的な証明の価値が大きくなることは間違いありません。法改正により、確認申請が不要になり再活用はしやすくなりましたが、その改修自体が建築基準法等の関連法規に遵守しているかどうかは、物件所有者に委ねられることになります。要するに公的な証明がないということになります。物件の出口、つまり10年後等の売却も考慮すれば、確認申請等の公的な証明の取得は、改修時に行っていたほうが良いと考えられます。

 2019年6月25日施行の改正建築基準法により、200㎡以下の建築物の他用途への転用は、建築確認手続きを不要となりました。

国土交通省:改正建築基準法が6月25日から全面施行されます
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000789.html


この改正の目的として、検査済証のない建築物等、既存ストックの活用推進したいという意図がありますが、平成10年当時、完了検査の検査率は38%であり、それ以前の新築物件の半分以上が検査済証がないという事実がありました。2019年当時は、インバウンドが盛り上がりを見せ、古ビルや住宅の簡易宿所へのリノベーションや、保育所不足が深刻であり、既存ストックの柔軟な対応が叫ばれていた対応でもありました。


◯「その中古住宅、「検査済証」がありますか? ガイドライン調査を利用する!」
https://house-ws.net/archives/209

2023年5月時点、確認申請が必要な用途変更・改修については以下のとおりです。

<用途変更>
◯特殊建築物で類似用途への変更でない、その面積が200m2を超えるもの

<大規模の修繕>
◯一号〜三号の建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕

<大規模の模様替>
◯一号〜三号の建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替

改修する際に確認申請が取得できれば、公的な証明になります。民間申請機関で遵法性調査も行っていたりしますが、やはり確認申請が取得できれば、それに越したことはありません。検査済証がなければ、ガイドライン調査を行い、その後確認申請となり、費用は掛かりますが、確認申請が取得できれば、証明書はもちろんのこと、図面自体も整理されることになり、必要な公的資料が一式揃うことになります。

もちろん、物件の状態、竣工後の改変、増築の状況により、新たな確認申請が取得出来ない場合もあります。その点はご相談ください。詳細な調査を行った上で、確認申請の再取得の可能性の調査は可能です。