私が間取りを提案するときはいつも、どこに何を収納するのかを想定し、棚の奥行きを決めています。
というのは、「もの」のサイズにあった収納スペースを作ることこそ、持っているものをフルに活用し、管理するためには欠かせない要素だと思うからです。
アメニティアドバイザー近藤典子さんの著書「近藤典子の「片づく寸法」図鑑」には、様々な寸法が紹介されています。
大学で建築を学ぶ際、バイブルと言われているのが、「コンパクト建築資料修正」
コンパクト建築資料修正→アマゾン
通称「コンパクト」と呼ばれ、いわゆる設計するときの資料となる、モノ、人の動作、設計事例が載っている辞典です。
内容はそれに近いのですが、近藤典子のこの著書は、「片付ける」視点に立って、紹介されています。
住宅を設計する時、施主の方々から、今まで住んでいる住宅のこと、住み方のことを聞き、設計に反映していますが、近藤さんのまとめ方もスパっとしていて、興味深いです。
「20cm」「30cm」「40cm」というのは、棚のサイズ。通常奥行45cmの収納や棚は多いですが、そこに置かれるモノが40cmであれば、5cm分部屋が広く使えるというように、モノには適切な奥行があるということ。奥行が深ければ、全てを満たすわけではなく、棚の奥の方に置いてしまうと、取り出せずにほったらかしになってしまうものが出来、収納として機動力が発揮できないとのこと。
収納の隙間と隙間は何センチあれば、通れるのか?
「60cmであれば、まあなんとか、45cmであれば、横歩き」
というように、人の動作や目線の高さによって、ものが収納されるべき高さは自ずと決まってくるとのこと
ENTRANCE、KITCHEN & DINING、UTILITY、LIVING ROOM、BEDROOM、CLOSET、TATAMI ROOM等々、住宅の中の部屋部屋の収納されるモノの寸法とその収納方法、その収納を使う動作ともに、詳しく書かれています。キッチンについては、とにかく詳しい。幅255cmのキッチンを実例に、収納割りからどこに何を入れるのか?事細かに書かれています。実際には、個々人の使いやすさはあるとは思いますが、近藤さんの考え方で再整理して、自分なりに再構築するもの良いのではないかと思います。片付けることに関して、経験に裏付けされたエッセンスが身につきそうです。
リビングは狭くしてでも広く使う……
通常、住宅を設計する場合は、家具のレイアウトも含め、どこにどう座って、どのような景色が見えるのか?想定しながら、打ち合わせを進めていきますが、収納についても常に適切に適量を目指しています。この「リビングは狭くしてでも広く使う」というように、部屋でも同様、適切な収納計画が、結局のところ広く住める一つの手段だと思います。必要なところに必要な家具を置く。もちろん収納だけで考えるのではなく、住み方、過ごし方も考慮した上ですが、その収納の使い方でどう住めるか?重要な要素だと思っています。
モノの寸法を知ること、専門家のみならず、これから、家づくりをしようと考えている人には、「近藤典子の「片づく寸法」図鑑」は一読の価値があると思います。