リビングやダイニングに階段を設ける「リビング階段」
家づくりをされている方にとっては、一度は検討することではないでしょうか?
子ども部屋を2階に設ける場合、リビング階段にすると、リビングを通らないと2階には行けなくなります。リビング階段にはメリットとデメリットが並立します。
いずれのことも二律背反的な内容が問題になります。
「住宅の中の動線」の問題。リビングの中に階段を設ければ、2階に行く時に必ずリビングに一度入らなければなりません。
・子どもが帰ってきたら、家族が繕いでいるリビングを通ることになり、そこで必ず顔を合わせます。
・休日に家族がいる時に、子どもが友だちを連れてきても、自室に行く場合は、必ずリビングを通ります
家族のプライバシーに関わらず、階段はそこにあるので、良くも悪くも階段の昇り降り時にコミュニケーションが発生します。ある人にとって、あるシチュエーションでは「コミュニケーションが良く」なり、また「プライバシーのなさ」を感じることもあります。
そのコミュニケーションやプライバシーのON/OFFをコントロールするのであれば、リビングの中の階段への動線をリビングと階段の間で引き戸を設け、必要時に区切れるようにする方法もあります。プランの制約はありますが、階段廻りの視線をコントロールすることによって、プライバシーの確保はすることは可能です。
階段があれば、必ず上の階とつながり、吹き抜け部分が出来ます。吹き抜けは天井だがが高くなり、リビングの気積も増えます。気積が増えれば、一般的には冷暖房費は上がります。そこで考えるのは、リビングの滞在時間と空調方法です。
・どのくらいリビングにいますか?土日平日の帰宅後は、リビングで過ごしますか?
・リビングに床暖房はいれますか?
リビングでの滞在時間が少なければ、冷暖房費のコストをそこまで厳密に考える必要はないかもしれません。冬場の暖房に床暖房とエアコンを併用すれば、床暖房の暖かさを体感的に感じられるので、エアコンの温度設定は通常よりも低めにはなるでしょう。
また住宅の性能は、数年前より進歩しており、断熱性能も2020年を目処に、住宅を含めたすべての建築で省エネ基準を順守せざるを得なくなります。断熱材が十分に、高断熱仕様の住宅であれば、冷暖房のコストも低く抑えることが出来ます。
リビング階段になれば、2階の子ども部屋は、階段上部の吹き抜けに面することが多く、リビングと子ども部屋が隣接することになります。リビングで大きな音で映画やスポーツを観戦したりすれば、子ども部屋へは、筒抜けです。木造住宅であれば、室内の間仕切りは、一般的には、防音仕様ではありませんので、音はある程度は筒抜けになります。また逆に子ども部屋の音もリビングや他の部屋に漏れるケースもあります。
以上のように、リビング階段における二律背反的は事象を上げてみました。他にも気になる点はあるとは思います。それがどのくらい気になるかは、人それぞれですし、幾つかは対処方法はあります。住宅であれば、建てられる空間は、法規やコストにより有限であり、その中でリビング階段のメリットとデメリットが上記のように、同時に発生するのと同時に、他の部屋にもその影響は伝搬します。
子ども部屋以外にも、夫婦の寝室、玄関等々、全体のプランを描きながら、リビング階段の必要の有無を精査してください。